吹いて奏でて楽しみましょう
春への準備
聡美先輩は卒業後、向こうでの準備と生活に慣れるため、早々と機上の人となった。
春休みに入った私は、なんだか宙ぶらりんだった。
聡美先輩もいない。琴子もいない。コンクールへの希望も薄いこの部活、続ける意味は…?
辞めるには知りすぎた。
楽器を奏でる喜びを。
合奏の興奮を。
指に、耳に、感覚に、心に。
いつかは忘れられる?
辞めた後、毎日行く学校で、楽器の音が聞こえても…?
もちろん辛いことも多い。
辞めるなら今なのかもしれない。
そんなある日。香奈恵先輩から電話が来た。
部員集合。
筆記用具や定規、ハサミ等を持参で。