吹いて奏でて楽しみましょう
式が始まり、新入生が入場してくる。
あらまあ~かわいらしい~。
自分より少し小さく幼い顔の新入生。
きょろきょろしたり、恥ずかしそうに下をむいてたり、前を向いてるがどこか緊張ぎみな様子だったり。
楽しそうな子も、キョトンとしてる子も千差万別である。
小学校から中学校に上がるということは、一大イベントだ。
特に小学校6年間が長いだけに。
私はその様子に精一杯エールを込めて、楽器を鳴らす。
中には、吹奏楽の存在に気づいてこちらに注目している子もいるが、ほとんどは自分のことで精一杯といった感じだ。
せめて前の方なら視界に入りやすいんだけどね…。
私達は後方の片隅にいる。
前だと行進曲が聞き取りにくいからだろう。
退屈な式が終わり、再び退場曲。
今度は新入生が後ろに向かってくるので、注目度も上がる。
早くも慣れたのか、じーっと見たり指さしたりしている子も…。
こらこら、先輩に指さすな。
何はともあれ、式が終わると急いで片付けにかかる。
一年生が帰らないうちにカードを配って勧誘しなければ!