吹いて奏でて楽しみましょう
「今回は吹奏楽祭の参加を見送ることにする。」
部員一同が集められたミーティング。
赤嶺先生が顧問を退き、代わりに新しく副顧問から顧問となった登川(のぼりかわ)先生が告げた。
「見送るって、出場しないってことですか?」
香奈恵先輩が問う。
「そうだ。この人数だしな。今から準備しても間に合わないだろう。」
「大会も、ですか?」
「それはまだ決めてない。人数が増えればいいが。
ところで、吹奏楽祭には出ないが、一年もいることだし、今後のために聴きには行くぞ。」
「え?行くんですか?」
友子先輩が意外そうに言う。
「そうだ。もしコンクールに出ることになれば、一年は雰囲気だけでも知っといた方がいいだろう。
他の学校の演奏を聴くのも勉強になる。
では、解散。」
やっぱり出れないか…。
5月を過ぎても新譜が降りてこないから、嫌な予感はしていた。
赤嶺先生が顧問を辞めた理由もはっきりわらかない。
「赤嶺先生は実力あるから、県代表も夢じゃない。」
聡美先輩の言葉が蘇る。
聡美先輩、県代表どころか、赤嶺先生は顧問を降り、吹奏楽祭さえ出れません。
ある意味聡美先輩が県外に出てくれて良かった気がする。
なんか合わす顔がない。
そんな聡美先輩だが、初の手紙が届いた。