吹いて奏でて楽しみましょう
部室はコンクリートむき出しで、普通の教室より狭い。
靴のままで入るといろんな棚が置いてある。
よく見るとその棚達で部室の真ん中を区切っている。
「ここがクラリネットとかの木管楽器」
左側を指して
「向こうがトランペットとかの金管楽器の部屋。」
「打楽器は第1音楽室にあるんだけど、今は三年の男子達ばかりだから。」
それは、遠慮しとこう。
「とりあえず、私が金管のトロンボーンやってるから金管から見てみよっか。」
そう言って本棚と壁の隙間に向かう。
同じ部屋なのだが、「失礼します」
と言わないといけない。
もし人がいたら
「はい、どうぞ~」
と許可をもらって入るのだ。
「金管楽器はね、このマウスピースが鳴らせないとできないのよ。
鳴らし方はわかる?」
マウスピースとは口につける部位らしい。
見たことはあるが鳴らし方?
普通に吹けばいいんじゃないの?
ぷー
先輩が吹いてみせる。
「唇をねぶーって振動させるの」
と言いながら今度はマウスピース無しでぶ~っとしてみせた。
へぇー。そんな仕組みになってたんだ。
みんな優雅に吹いてるように見えるんだけどな~。
「ちょっとやってみて。」
私も真似してやってみる。そしてマウスピースに口を当てた。
何回かやると、
ぶ~。
あ、なんか音っぽい?
いまいち自分の口から出る音なのか、
マウスピースを通して出てるのかわかりづらいんだけど。
「試しに楽器つけてみようか。」
マウスピースに本体がつく。
楽器によってマウスピースの大きさが違うので、小さめのホルンから。
丸い、ぐるぐる巻きの楽器だ。