吹いて奏でて楽しみましょう
「サックスはアルトとテナー、バリトンがあるんだが…」
顧問が4人に話す。
今言った中で、アルトが一番音が高く、小さくて、軽くい。
「アルトやりたい人?」
4人の手が上がった。
「4人ともか!?」
「だっていきなり、テナーとかバリトンなんて、重いし難しそうだもん。
恵はバリトンやれば?」
莉奈が素直すぎる意見を述べる。
「え~ソプラノサックスならやってもいいけど~。」
ソプラノサックスはサックスの中で一番音が高く、クラリネットみたいに真っ直ぐな形。
ただ今、破損中。
「それなら、私もソプラノサックスやりた~い。」
「私も!」
莉奈に続いて茜まで…。
「…ソプラノサックスは、特に無くてもいいんだ。テナーとかバリトンが欲しいんだがな~。」
顧問が困ったように言う。
「テナーならいいけど、バリトンは絶対イヤ。」
莉奈の言葉にすかさず
「なら、莉奈はテナーだな!?」
「え?いや…ものの例えで、バリトンよりはマシって意味で~」
「莉奈テナーやりなよ~」
「恵こそバリトンやりなよ!」
あ~だこ~だと話は平行線をたどる。
「…楓は、どうだ?」
「え!?」
顧問のいきなりの振りに驚く。
私だってイヤだよ~!
「バリトンはいいぞ。」
「はぁ。」
いいぞと言われても…そもそも、ついさっきフルートを取り上げられた身で何もわからない。
「先生!楓に押し付けようとしたらかわいそうです。」
莉奈…。ありがとう!
「しかしな~…う~んどうしたもんかね!じゃあ茜は?」
「え~私だってイヤですよ。」
キッパリ断る茜。
半ば捨てばちになった先生は
「じゃあ、慣れるまで全員アルトサックスで、一人はテナー、一人はバリトンのパートを吹くってのどうだ!?」