吹いて奏でて楽しみましょう
イン・ザ・ムード
最初の派手な出だし。
ソシレソ ソ ソ ソソファソレシ レドドシララ ソ~♪(♯、♭略)
その後、サックスを悩ます、地味だが重要な箇所がある。
タリラ タリラ タリラ タリラ~パッパッー♪
恐怖の3連符。
うまく吹ければカッコイいのだが、
タリラ タリラ タリラ タリピー!
「ぐっ!」
音がオクターブ上に行き、派手に外れた音にみんな爆笑。
「ぎゃははは…もー笑わさないでよー」
涙浮かべながら恵が言う。
「真剣だって!もう!なんでこうなるの?ここムズいよ~」
私は幾度か失敗して苛立つ。
「ハハハ…じゃあもう一回。」
タリピ タリピ タリピ タリピー…
全部外してやった。
案の定爆笑が起こる。
「楓ーもうやめて~。お腹いたい~。」
ふっ。笑い苦しむがいい。
だが、当の本人もあまりの音痴っぷりに笑ってしまう。
断っておくが、外してるのは、私だけではない。
茜や莉奈もよく外すし、恵でさえもたまにやる。
恵といえば、後半にソロパートがあり、ひどく落ち込んでいた。
「ソロとか無理。」
「えーカッコイいじゃん。」
茜が意外そうに言うのを、やだ無理。 と膨れる恵。
どうやら、あまり目立つのは苦手らしい。