吹いて奏でて楽しみましょう


木管楽器の部屋。


「私、独学だけど個人的にフルートやってるの。

あ、ちなみにね。」


奥の2メートルほどある掃除用具入れのような木箱の戸を開ける。


中には


「弦楽器なんだけど…コントラバスっていうの。

今は誰もやってなくて、できればこれもやってほしいやつの一つなんだけど…」


遠慮がちに言う先輩の横で私はそびえ立つそれを見上げる。


それは、バイオリンが巨大化したようなやつでチェロよりもまだ大きい。


私が?これを?
自分の身長より大きい楽器。手とか届くの?


一応持たされてみたが、案の定重い…。

支えるだけでふらふらする。


これは無理ですわ。

目で訴えてみる。


「まあ、気にしなくてもいいんだけどね。」


はは、とお互い苦笑いして見なかったことにする。


思いのほか色んな楽器が出てくるな~。

このままだと大変なものを担当させられるかも。


早く決めなければ!

それに一生懸命教えてくれる先輩にもそろそろ申し訳なくなってきた。


その先輩はガラガラとステンレス製の棚の戸を開ける。


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