吹いて奏でて楽しみましょう

「終わった!」

「これで全部?」


それでもなんとか終わらし、コンテナに詰め込んで移動開始となった。


階段は使わず、板で作られた坂を利用する。

滑り止めのつもりなのか、細長い角材を等間隔でくっつけているだけの坂だ。

「…これ、こんな重たいもの持って歩いても壊れないんですか?」

茜が言うと、

「大丈夫だ。建築家が作ってあるんだから。」

という顧問の答え。

しかし、不安は消えない。

 なぜならあなたは建築家じゃないから。

私達は先にどうぞどうぞと、決して親切心からではない譲り合いをし、それに飽きた茜達が先陣を切った。

二人でコンテナを持った茜と莉奈はおそるおそる足をつけ、体重を乗せていく。

「どう?」

すっかり体重を乗せた茜に聞いてみる。

「うん、意外と大丈夫。」

 ミシミシ言ってはいるが大丈夫らしい。

みんな意を決してそれに続く。

当然と言えば当然だが、何事もなく、作業は運んだ。

4階から4階への移動なので階段よりは楽なのだが、少し滑りやすい。


「気をつけてね。」

後輩に言ってるそばから、ずり落ちたりして。


< 233 / 467 >

この作品をシェア

pagetop