吹いて奏でて楽しみましょう
「終わった!」
「これで全部?」
それでもなんとか終わらし、コンテナに詰め込んで移動開始となった。
階段は使わず、板で作られた坂を利用する。
滑り止めのつもりなのか、細長い角材を等間隔でくっつけているだけの坂だ。
「…これ、こんな重たいもの持って歩いても壊れないんですか?」
茜が言うと、
「大丈夫だ。建築家が作ってあるんだから。」
という顧問の答え。
しかし、不安は消えない。
なぜならあなたは建築家じゃないから。
私達は先にどうぞどうぞと、決して親切心からではない譲り合いをし、それに飽きた茜達が先陣を切った。
二人でコンテナを持った茜と莉奈はおそるおそる足をつけ、体重を乗せていく。
「どう?」
すっかり体重を乗せた茜に聞いてみる。
「うん、意外と大丈夫。」
ミシミシ言ってはいるが大丈夫らしい。
みんな意を決してそれに続く。
当然と言えば当然だが、何事もなく、作業は運んだ。
4階から4階への移動なので階段よりは楽なのだが、少し滑りやすい。
「気をつけてね。」
後輩に言ってるそばから、ずり落ちたりして。