吹いて奏でて楽しみましょう
アンサンブル
残暑も終わり、冬に入ろうとしている。
私達の中学では、文化祭と体育祭が毎年交互に行われ、今年は体育祭の年だった。
だが、グラウンドは工事中の為、変わりに陸上競技大会と称して市内の競技場でリレーや短距離をやったぐらいだ。
吹奏楽部の出番はない。あっても出れないだろう。
「あ!楓いた。」
他の競技を見学中茜がやってきた。
「どうしたの?」
「なんか、登川先生が2年生の部員ゲート前に集合かけてる。」
「え?」
ゲート前。
「先生、何やるんですか?」
「あー、集まったか?ちょっとお願いしたい仕事があるんだ。」
と言って、一人一人にマジックペンを渡した。
「3年男子のマラソンは2周なんだが、1周してきた奴らの手にマジックで印をつけてほしいんだよ。
だいたい5、6人いた方がいいから。みんなでやってくれ。」
「え~、また~?」
「じゃあ、しっかり頼んだぞ。」
と言って去っていった。
何かっていうと雑用まかされることが多い。
しかし、最初は嫌がっていた私達も、
「何?印つけないといけないの?」
「おい、あと1周走らないといけなくなるぞ!」
「俺まだ!印ちょうだい。」
と、先輩達が協力的で。
「さっきの人格好良かった~」
などと騒いだりして、意外と楽しかったりもした。