吹いて奏でて楽しみましょう

「朝、夕は涼しくなってきましたね。茜さん。」

「本当に、すっかり秋めいてますね。楓さん。」

と、風流な婆さんごっこをする私達。

暦の上ではもう冬に入るところだが、ここは沖縄。

昼は太陽が出れば暑い。



「こんにちはー。」

 部活に来ましたー。

「あ、楓が来たよ。」

 およ?先生がいる。

「みんな、何してるの?」

 私がかばんを置きつつピアノの方に向かった時、

「ねぇ、楓はバリトン吹きたい?」

恵が尋ねてきた。

「バリトン?何を急に…」

「実はなアン…」
「あーまだダメダメ!」

「?」

顧問が何か言いかけたのを茜、莉奈、恵の3人が阻止する。

「ねぇねぇ、どうなの?バリトン。」

「え?あまり吹きたいとは思わないけど?」

「あ~やっぱ、そうだよね~。」

恵が残念そうに言う。

「けど?それしかないとしたら?」

今度は莉奈だ。

「え?何?それしかないって、どういうこと?」

「もう、いいじゃん。話そうよ。」

茜がピアノにひじをついて言った。

「サックス4人でアンサンブルコンテストに出ることになった。」

おいでおいでしながら、顧問が言う。

「え?アンサンブル?」

ピアノの上には一枚の紙がある。

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