吹いて奏でて楽しみましょう
 なったって、勝手に?あ、顧問だからか。

「もう決定なんですか?」

急な話で頭が回らない。念のため確認する。

「うん。まずいか?」

「いや~急だな~と。」

 アンサンブルなんて初めてだ。

「うん、申し込みは早くないとな。締め切りあるし、出るなら早く練習しないと。」 

 あ、そっか。

「真弓達は出ないの?」

恵が聞いた。

「金管も出そうと思ってる。
あと、3年はソロも考えているが、まずはお前らだな。」

「で、楽器を決めなきゃいけないんだって。」

茜が引き継ぐ。

「楽器…」

「アルトはファーストとセカンドの2人、テナーとバリトンが一人ずつだ。」

「私は絶対アルトのセカンドがいい!」

恵が間髪入れず言う。

「恵は2年間サックスやってるんだから、ファーストでしょ!」

茜の言葉に莉奈が頷く。

「やだ~。ファーストは部長の茜がやってよ~。」

 いや、部長とか関係ないから。

どうやら、アルトのセカンドが一番の安全圏と考えてるらしい。

「私、一番簡単なとこがいいな。」
「私も。」
「私も。」
「私も。」

「全部重要だぞ。」

しばらく、4人はあ~だこ~だ言いながら、真剣に悩んだ。

「は~、じゃあ私、テナーだったらいいかな…」

疲れたように莉奈がポツリと呟く。

「本当!?」

「う~んでも…」

なかなか決められないようだ。

「じゃあ、私でいいんならファーストやるよ。」

茜が言った。

「本当!?」

恵が喜ぶ。

「どうなっても知らないよ。本当は恵の方がいいのに。」

「茜、大丈夫だって!感謝します!」

「じゃあ、恵はセカンドだな。」

顧問が言った。

「えー、なんでー?」

莉奈がわからないという風に言う。

「茜をサポートしないと。いつでもファーストできるようにしなくちゃならんし…。
あと、バリトンも基盤になるから結構重要なんだがな。」

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