吹いて奏でて楽しみましょう
「じゃあ、楓がいいよ!一番練習真面目にやってるし。うまいし。」
初耳だぞ!
てか、茜まで頷いてる!
「いや!うまくはないです!」
「でも、元々バリトンパートだし。楓ならまあ、安心だな。いいか?」
良くない。けど…。
「…はい…。」
顧問のだめ押しで、決まってしまった。
ううっ。でも、低音楽器ならスケールとかもないかも。
バリトンの欄に書かれた自分の名前を悲しげに見つめる。
「じゃあ、私テナーなの?」
「そうなるね。」
「ま、いっか…バリトンよりは…あっ!」
慌てて口をおさえる莉奈。
莉奈~。聞こえたし!
こうして、前途多難のアンサンブルは幕を開けた。
「ところで、曲は?」
「マイアミビーチルンバだ。」
「マ…!?」
「ルンバ!?」
「マイアミビーチルンバ。」
「もう決めたんですか!?」
「タイトルがすでに怪しい!!」
みな驚愕する。
「先生、センス悪くない?私達が演奏するんだよ!?」
「失礼な…。いい曲なんだ。曲聞けば…
う~ん。
余計怪しいとか言いそうだな…。
でも、もう決定だ。考えた上でお前らにはこれしかない。」
ちょっと待ってろ。
と言ってCDを取りに行った。
「…絶対そんなことないって。他の曲もあるって。」
「タイトルだけで曲は普通かも。」
「いや、聴かなくてもわかる。」
「そうだね。」
取り残された4人は放心状態だった。