吹いて奏でて楽しみましょう

無事席につき、スタンバイをする。

時間が限られてるらしく、音出し、チューニングもそこそこに終わった。


 さて、演奏か。

と思った所。

「皆さんこんにちは、顧問の登川です。これから、楽器紹介をしたいと思います。」

 え!?

「まずはフルート。」

 えぇ!?

「フルートさん楽器をよく見せて下さい。」

 はぁ!?

私が唖然としていると、楽器を上に上げてと指示が出る。

私達はイスに座り、前には譜面台があるからよく見えないのだ。

なんだかわからないまま楽器を上に上げてみる。

と、先生がフルートについて軽く説明し、

「では、音を聞いてみましょう。」

 何を~!?

先生が私に目で早く吹けと合図する。

 なんかって…考える時間は…

無いので、普通に音階を吹いた。

「じゃあ、曲の出だしを吹いてもらおうかな?」

更にリクエスト。

 いや、一人にこんな構ってたら時間無いですやんか。

とも言えないので、しぶしぶ曲の冒頭を一人で吹いた。

この曲、結構出だしが難しいんですけど…。

ミスらないか心配しながら吹き終わると、やっと次の楽器に移った。

案の定、時間が無くなり、最後の方は短く、曲はテンポアップで終わらせた。


この計画制の甘さ、部員ものんきなら顧問ものんきである。


 こうゆう時、フルートって損だよな~。

トップバッターの上、手際が悪くて、睨まれた。


気になる小学生の反応は…なんだか微妙である。

歌謡曲を吹いたのだが、「ダサい。」という声が聞こえた。

カチンと来たのだが。

 逆効果じゃないのか?

と不安が募る一日だった。


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