吹いて奏でて楽しみましょう

そう思っていたが、１校終わらせれば慣れてしまい、後は淡々と仕事をこなした。

どうやら小学生同士で噂が広まり、うちの学校はまだ来てないとか話題になってるらしい。

楽しみにしてくれた子や、そうでもない子、反応は様々だった。


選んだ歌謡曲は去年の秋に楽譜を注文したもので、曲がヒットしたのは更に前のこと。

小学生には古いと、ウケなかったのだ。

生徒会にはウケが良かったのだが。

ま、どうしようもない。感覚も違うし。


「ふ～。やっと終わった～。」

最後の１校で演奏が終わった日、私達は帰り道で達成感を感じていた。

「これで部員増えるといいね。」

「うん。ポスターとカード作りもそろそろ始めようか？」

「去年は春休みにやったよね？」

「でも、早くてもいいんじゃない？やる気があるうちに。
私、いとことかに配りたいんだよね～。」

「へ～、すごいね。」

みんなの志気も上がっている。

人前で吹くのは緊張するが、聴かせるのが吹奏楽の重要な活動の一つだ。

久しぶりに部活動らしいことをやり、更にそれが未来に繋がる希望になって心に明かりが灯っていた。