吹いて奏でて楽しみましょう

すると、クスクスと比奈ちゃんが笑った。

 ナイス!茜。
ムカつく呼ばわりは不本意だが。

「だって本当に音は出るしぃ。」

悪ノリする私に茜は

「あ!本当ムカつく。どうせ私は下手クソですよ~。」

と返す。

少し空気も和んだ所で、私も改めて観察する。

「口の位置は悪くないんだよね~。」

 さっきさんざん直したし。
アンブシュア(楽器を吹く時の口の形)はイマイチなのだが…、今は一番この形が音が出そうなので変えないでおく。

「肺活量かな…。」

茜が呟く。

「うん、でも…」

「でも?何?」

「いや…それだけなのかな?と思ったり…」

こんな長いことやって、やっぱり違和感が感じる。

 顔もちっちゃくて、いかにもフルートが上手い美少女なのにな~。

 歯並びは若干悪いけど。口もちっちゃくて可愛いよな~。

 ん?口小さいな…

「お~いどうした?」

茜が私を呼ぶ。

「もしかして口が小さすぎて、うまくアンブシュアが作れないのかな?」

「え?本当だ。比奈ちゃん口小さいよね~。可愛い。」

 でもそれが原因だと、どうしようもないんですけどー!

「とりあえず、腹筋頑張ってね。今日はこれで終わろ。」

「あ、うん。」

「はい。」

「大丈夫なんとかなるよ。たぶん。」

「そうそう。」

茜に合わせて私も相づちをうつ。

「はい。ありがとうございました。」



「なんとか…なると思う?」

茜に問う。

「さあ~?」



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