吹いて奏でて楽しみましょう
比奈ちゃんのことは、先生と本人に任せた。
私が任せたというのは、部活や楽器を辞める辞めないということに関してや、比奈ちゃんだけ特別扱いしないということだ。
これから上達するか、このままかはわからない。
このままだとして、その状況でずっと続けるかどうかも何も言わないことにする。
もとより、私は専門家じゃないし、みんなと同じことしか教えられない。
見守ることしかできない。
多少の不安はあるが、深く考えないことにした。
そのことを茜に話すと、
「うん。それでいいんじゃない?
楓が自然体なら、比奈ちゃんも気負わずにいられるだろうし。」
と同意してくれた。
「ところで、比奈ちゃんの友達がクラリネットに入ったんだって?」
比奈ちゃんは二年生だ。クラリネットは以前から一年生も入っていた。
「うん。由樹ちゃん達の友達でもあるみたい。すごいよ、一気に増えた。」
由樹ちゃんは去年から入っていた二年生の一人だ。たしかもう一人もクラリネットに戻ったはず。
「何人なの?」
「私と莉奈除いて10人。」
「わ~ぉ!すごいね!10人?てことは全員一気に教えてるの?」
「うん。いや二人は前やってたから、正確には8人か…。私がいないときは莉奈が見てるけど、大変みたい。莉奈はソプラノもやってるし。」
「そっか。部長の仕事もあるしね。クラリネットだけみてるわけにはいかないんだよね~。」
「しかも先生が人数多いからバスクラまで出してきてさ~」
「バスクラってあのでっかくて、サックスみたいな?うちにあったの?」
「うん。一本だけど、もうそうなると私も未知の世界で、半分は先生が教えてる。」
「大変だね。」