吹いて奏でて楽しみましょう
数日後、比奈ちゃんはまだフルートで頑張っている。
が、まだロングトーンは出来ない。
というか、音もイマイチ出てない。
ふー!ふー!
あぁ…。引き受けたもののあれじゃあいつまでも楽器なんてつけられない…。
それこそ、音なんてさっぱり出ないよ。
タンギングを教えてみたが、これもなかなか難しいらしく、息だけで吹いてしまうのだ。
せめて、タンギングができれば音が出しやすいんだけどな…。
タンギングが出来ないのはかなり致命的だ。
今までどうやってリコーダーを吹いてきたんだろう?
私の常識を越えた逸材(別の意味で)に私は時たま途方に暮れてしまう。
「楓、どうだ?調子は。」
「あ、先生。はい、まぁまぁ慣れてきました。」
「そんなに難しいのか?ピッコロは。」
私が下手なだけかもしれないけど。
「はい。意外と。高い音が出しにくくて。」
「低い音は出しやすい?」
「それが、あんまり…音が響かないというか。」
「だめじゃん。」
「はぁ…。」
「来月は吹奏楽祭だし、頑張れよ。」
「吹奏楽祭出るんですか?」
「当たり前だろ。」
…めちゃ不安。