吹いて奏でて楽しみましょう

「ところで、比奈はどうだ?」

「…かなり難しいです。いつ楽器をつけていいやら。」

「ロングトーンは何秒?」

「一瞬です。」

 それでも音が出ただけマシなんです。

「タンギング…は教えたか?」

「はい。難しいようです。」

「…う~ん…」

「もう、楽器つけたらどうだ?指遣い教えるって理由で。」

「いいんですか?」

私もちょっと考えていた。

「しょうがないだろ。いいぞ。責任は俺がとる。」

 本当かな?責任てそもそもどんなふうに取るんだ?

「はい。じゃあそうします。」

「一年生はどうだ?」

今度は一年生に目を向ける。

「はい。藍理ちゃんが真面目なので、よく練習してるみたいです。」

「洋子も根は真面目だからな。」

「そうなんですか。二人で良く笑ってるので仲も良さそうですし、特に心配はないかと。」

「へぇ~。藍理は大人しいがよく笑ってるのか。それはいいな。
貴子は心配ないな?」

「はい。」

貴子ちゃんは今では一番安定感のある存在だ。

会話が終わると先生はそれぞれの様子を見に行った。

私は早速席を立って比奈ちゃんの所に向かった。


「比奈ちゃん、もうそろそろ楽器つけようか!」

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