吹いて奏でて楽しみましょう

「楓、到着。○と。」

「何?莉奈。」

私が部活に来るとピアノ前にいた莉奈が何やら呟いたのが聞こえた。

茜もいる。ピアノの上にはノートが開かれている。

ガチャ。

「はあ~涼しい~」
「疲れた~」

続けて恵と真弓も部活に来た。

「恵と真弓、到着。○。」

「ん?何?私到着しましたけど?」

恵も驚いて、莉奈に返す。

私は莉奈達の側に行き、ノートを覗いた。

「ああ!もしかして名簿?ていうか出席簿だ?」

「そう。五月に入ったでしょ?先生が作れって。
今日は私たちがつけるけど、練習もしなきゃいけないから、明日からは自分でつけてね。」

茜が説明するのを恵と真弓も聞いた。

「確か、一年の時は黒板に書いてたよね。休みの理由とか。」

私が思い出して言う。

「うん。あの後書記係の先輩がノートに写してたんだって。こんだけ人数いると手間かかるしさ、直接ノートにってことで。」

「あ、そっか~。」

「でもさー、自分で書かせたらズルする子とか出てこないかな?」

恵が指摘した。

「そうだね。初めは大丈夫かもしれないけど慣れたら危ないかも…。
やっぱり後輩達は黒板に書かそうかな?」

「誰が写すの?」

茜の言葉に莉奈が問い返す。

「そりゃあ、書記係の莉奈。」

「えー!私、書記係じゃないし。」

「○つけやりたいっつったじゃん。」

「今日だけだよ。」


「ねぇ、今、何人いるの?部員。」

茜と莉奈の会話中に真弓が聞いた。

ノートにはズラッと名前が乗っている。

< 326 / 467 >

この作品をシェア

pagetop