吹いて奏でて楽しみましょう
「今日からみんなで基礎練するよ~。集まって~」
翌日、その子達(後輩)と5人で基礎練することになった。
理由は簡単。
メトロノームが足りないからだ。おまけに基礎練をしないと曲をやってはいけないという暗黙のルールがある。これは先生からも厳しく言い渡され、代々受け継がれているルールの一つ。
一人一人に教える手間も省けるし。
まだ本格的な基礎練は教えていない。
基礎練には時間がかかるのだ。
窓際の台にメトロノームを据える。
窓からはオーシャンビューの眺め。
部屋も新しくて明るい。
ん~いいね~。
一人眺めに酔いしれているとみんなが楽器を持って集まった。
「今日から、ちゃんとした基礎練を教えます。
基礎練は曲やる前に必ずやること。」
「はい。」
「うん。で、メトロノームが少ないから、各楽器1台ずつしか確保できなません。だから基礎練はできるだけみんなでやるようにします。」
「はい。」
「あの~。」
洋子ちゃんが何か言いかける。
「うん?」
「あの、遅れたりとかしたらどうなるんですか?」
「あー、なるべく遅れなようにはしてほしいんだけど、仕方ない時はあるよね。」
みんな頷く。
「その時は仕方ないから、途中から参加して下さい。そして終わってから、まだやってない分の基礎練をやること。」
「わかりました。」
「はい。それから私が遅くなる場合やいない時は2年生が中心にやってね。」
「え?」
「大丈夫。慣れるまでは私も早く来れると思うから。」
今度は一年に向かった。
「一年は二年の言うことをちゃんと聞くこと。
そしてめったにないと思うけど、私も二年もいない場合は二人でしっかりやってね。」
「はい。」
「よし。じゃあえ~っと、各自イスを持ってきて。メトロノームを中心に半円を作るようにイスを置こうか。」