吹いて奏でて楽しみましょう
「ではでは。」
ぶっちゃけ私も少し緊張してたりして。
新しいことを教えるのは面倒だが、ワクワクもする。
「まず、メトロノームの使い方を改めて確認~。」
メトロノームに刻まれている数字の意味や、おもりを上げるとテンポが遅くなること、おもりの位置の合わせ方などなど普段当たり前だと思ってることを実際に操作させて教えた。
昔は何も知らなかったからな、私。
もちろん知ってる子もいるがピアノとかを習ってなければ意外とあいまいで知らない。
「じゃあ藍理ちゃんテンポを60に合わせてみて。」
「はい。」
逆にあいまいには知ってる簡単なことなので、それほど緊張を与えることもない。
カチ、カチ、カチ
「正解。これがロングトーンをする時の速さね。ちなみに洋子ちゃんれは何の速さと同じだっけ。」
入ったばかりに教えたこと。
「え?何の速さと同じ?」
突然の問いに詰まる。
「うん。」
「あ~、時計の…」
「うん。時計の?」
頑張れ。もう少し。
「秒針!…と同じ?」
「そう!一秒の長さと同じね。一分間に60回刻むから60。と考えれば、おぼえやすいかと。」
「あ~なるほど~」
洋子ちゃんが頷く。
この子は反応がいいからやりやすい。
「じゃ、メトロノームはこれぐらいにして、ロングトーンの練習に移りま~す。最初はマウスピースだけで。」
と言いながら頭部管を抜く。みんなもそれにならい。本体は棚の上。
よしよし、誰もキーを下にしてないな。
「じゃあカチ、カチ、カチってメトロノームが刻んでるでしょう?それに合わせて私が1、2、3、って言うから3まで息を吸って、次のカチって音と同時にトゥーって吹き始めてね。まずは練習。いい?」
「はい。」
「1、2、3」
フー♪
「うん!今の感じ。じゃあ本番。初めはタンギングを使ってしっかり出すこと。息を小さく吐いて伸ばせるとこまで伸ばしてね。」