吹いて奏でて楽しみましょう

「やっとだ…。」

洋子ちゃんの呟きに笑ってしまう。

「あはは。実は、こっからが長いんだよ。」

「え!?」

「楽器をつけたら最初はb♭でロングトーン。」

「ビーフラット?」

「貴子ちゃんb♭って何の音だったか覚えてる?」

「シーの♭です。」

「そう。これは曲の練習前とか全体で音を合わす時によく使う音です。フルートはさっき言ったようにシー♭。他の楽器はまた違う音なんだけどね。」

「へ~?」

「とにかくb♭って言われたらシー♭を吹くこと。大事だから覚えてね。」

「はい。」

b♭のロングトーンが終わって。

「次は一番下のドから半音階ずつ上って下がっていくロングトーン。」

「え!?今のを全部ですか!?」

「うん、全部。でもやり方はちょっと違う。
ドを1拍伸ばしてスラーでド♯に上がって4拍。」

「スラー?」

「音を切らさないで一息で吹くことだよ。こんな感じ。」

ドード♯ーーーー♪
「一旦切って、次の拍でド♯1拍レ4拍。ドから続けてやるとこんな感じ。」

~♪

「なんか難し…」

「うんやってるうちに慣れるから、一緒にやってみよう。」


最初のうちこそバラバラだったが、そのうつコツを掴み、だんだんとそろってきた。

「次は反対。下に降りてくよ。」

「え~難しい。」

やり方がわかると音が怪しくなったので、私は楽器を下ろして音階を口で言った。

「ドーシー、シーシー♭…」

「終わったー。」

「長かったー。」

< 334 / 467 >

この作品をシェア

pagetop