吹いて奏でて楽しみましょう

 めちゃ気になる。

私がこんなお節介な性分を持っているとは思わなかった。

 でもなんて言ったらいいのかな?

考えつつ近づいていく。

「もうすっかり二人仲良しだね。」

「はぁ。」
「はい。」

「良かったよ。二人別々に入ってきたから。
最初はあまり話してなかったでしょう?
佳子ちゃんが辞めたら洋子ちゃんも辞めちゃうのかな~?って思ってたからさ。部活楽しい?」

「はい。楽しいです!ね!」
「うん!」

洋子ちゃんは元気いっぱい、藍理ちゃんもつられて返事する。
二人とも笑顔だ。

「ところで、今日の基礎練どうだった?難しかった?」

「あ~最初は難しいって思ったけど、慣れたら楽しかったです。」

「そう!」

「でもちょっと長いな~って…。」

「あはは。まぁね~確かに。きちんとやろうとしたらかなり長いよ。
今日は特に最初だから、説明とかも入れて余計長くなったけど。これも慣れるから。」

「慣れたら短時間で終わるんですか?」

「う~ん。時間が短くなるというより、基礎練自体に慣れるというか…」

「?」

「タンギングにしろ、ロングトーンにしろ上手くなるほど、上を目指すからかえって練習時間は増えるかな?」

「そうなんですか!?」

「タンギングがもっと速くなりたいと思うし、もっと長く音を伸ばしたいと思うから。練習に貪欲だとそれだけ上手くなるしね。」

「はぁ~なるほど。」

「特に曲に入ったら、自分の技術力の無さに気づいて、基礎練に力入るわよ~。」

「曲?」

「あ、もうすぐ吹奏楽祭でやる曲の楽譜がおりてくるはずだから。」

「吹奏楽祭?コンクールですか?」

「いや、コンクールは夏にあるんだけど、全県でコンクールみたいに演奏するんだよ。
今年も沖縄市民会館かな?」

「えー!いつあるんですか!?」

「来月。」

「来月!?早くないですか!?うわ~緊張してきた。」

「そうね。真面目に練習しないとね。」

ちょっと釘をさす。

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