吹いて奏でて楽しみましょう
休憩後。
「2人とも7秒出るか計ってみよっか。」
香奈恵先輩がメトロノーム(一定のリズムを刻む機械)を60に合わせる。
「え、でもまだ出ませんよ?」
「いいから、いいから。じゃあ琴子ちゃんから、
さん、はい。」
フーー
コチ、コチと規則正しく動くメトロノームの拍数を数えながら見守る。
6拍行くか行かないかで止まった。
「あーおしい。じゃあ次は楓ちゃん。
さん、はい」
フーー
結果、3秒半。
それから何回か計って
「う~ん5秒でもいっか?」
香奈恵先輩が清花先輩に言う。
「でも、多分音出ないよ?」
「けど、琴子ちゃんは4日目だしさ、あんまり長いこと頭部管だけってのも…」
「そうだね~5月末には吹奏楽祭もあるし、吹いてたら出るようになるかな?」
吹奏楽…さい?
ちょっと気になるワードを耳にしたような。
その時香奈恵先輩が振り返って、
「じゃあ、ちょっと早いけど今日から本体つけよう。
楓ちゃんもね。
指使いも覚えなきゃいけないし。」
「はい。」
指使いか~音だけじゃないんだな。
不安だけど、キーを押せる好奇心の方が高まった。
同じ音を吹くのもいいかげん飽きたし。