吹いて奏でて楽しみましょう

「明日寝坊しないでよー。」

「茜こそ部長が遅刻しないでよね。」

「なんかそう言われたら、余計眠れなくなって、寝坊しそうじゃない?」

「ないない。恵は絶対ない。」

「なんで!?」

「絶対熟睡してる。」

「ひどっ!寝るけど!」


分かれ道も迫ってきた。

「ねぇ…みんなで手置いてオーってのしない?」

「え!?あの試合前とかでやるやつ?」

「やだ!恥ずかしくない?ってかここで?」

「いいんじゃない?やってみようよ。最後だし。」

「え~?やる?」

「やるなら人が来ないうちに!」

「かけ声は?」

「やっぱり部長が。」

「え~?」

「早く早く!なんでもいいよ。」

みんなは円になり、慌てながら片手を中央に出して置いていく。

「なんかもうこの状態が恥ずかしい。」

「端から見たら何これ?だよね。」

「茜簡単でいいから早く。」

「じゃあ、みんな合わせてよ!えと、
明日は頑張るぞ!」

「オー!!」

かけ声とともに力を入れた手は一旦沈み、すぐ上を上がって離れた。


みんな笑いながら、

「いや~はずい。」

とか言いつつ帰った。

私達にとっては珍しいこと。



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