吹いて奏でて楽しみましょう

舞台袖、の更に横の廊下で出番を待ち並ぶ私達。

「静かに」と言う指示のもと、私語は少ないが。

「あ~どうしよ~緊張する。」

「え~やめてよ。余計緊張するし。」

後輩達のつぶやきが聞こえてくる。

 緊張か。一昨年は聡美先輩から貰ったプロミスリングをポケットに入れてたんだよね。

緊張したら無意識にポケットに手を当ててた。
意外と緩和効果があったらしい。

 今思えば、一年の頃は先輩に守ってもらってるって安心感があったのかも。


今、私の後輩達は指を動かしたり、温めたりしている。

「楽器温めてね。」

「はい。」

ひそひそと囁きながら、後輩達の服装や様子をチェックし、自分も用意。

 こんなことするのも最後か~。


「では静かに入って下さい。」

そうこうしてるうちに舞台袖に通された。


 あ、

舞台にいるのは、見慣れた制服。私の小学校の時の友人がいる、隣の学校だった。

小学校の放課後、吹奏楽部のことを話した友人達もいるはずだ。

 みんな頑張れ~。

~♪

舞台から一番遠くにいる私は友の姿を確認できない分、耳に神経を集中させた。

~♪

 確か、隣の中学も今回人数が増えたんだっけ。


~♪

課題曲は同じもので、こっちまでハラハラする。


~♪ パチパチパチパチ…

拍手とともに終わり、私達の学校がアナウンスされる。


『…続きまして、プログラム第33番那覇市立伊是名中学校50名です。
指揮は登川昌俊。
課題曲はⅣ、アップルマーチ。
自由曲はJ・スウェアリジェン作曲、チェスフォード・ポートレイトです。』


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