吹いて奏でて楽しみましょう

~♪

もう他の人達は大体席に着き、音出しをしている。

 私も!

譜面台を自分の前に引き寄せ、楽器を構えると

「音合わせするぞ。」

と言われ、諦めた。

~♪

次々と音が重なり、チューニングが始まる。

 先生、燕尾服だ。

ツバメの尻尾のように長いジャケットの裾が目に着く。

 いいな~。私も一度は着てみたいな。

さっきのてんやわんやでひと息ついたからか、無駄な思考が働く。

そうこうしているうちに顧問が指揮台を降り、客席に向かって一礼した。

パチパチパチパチ

始まりの合図に客席から拍手が起こる。

 はっ!いけない!始まっちゃうよ。集中、集中。

ざっと楽譜を確認して、いつでも出来るように意識を高める。

 今までしてきたこと、以上の演奏ができますように!

再び指揮台に上がった先生がみんなを見回して確認すると、スッと指揮棒が上がった。


始まる。


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