吹いて奏でて楽しみましょう

「緊張した~」

「なんか長く感じた。終わらないみたいな。」

「え?私は短く感じたよ!?」


演奏が終わってみんな興奮状態から口々に感想を言い合うのは恒例だ。


 確かに、課題曲もあっていつもよりは長く感じたな。

私はそう思った。

県予選がかかった重みなのだろうか?


「最後のトゥリルしなかったね。」

 うっ!

茜の指摘に私は思わず言葉に詰まった。

 バレてる…。

「うん…。ごめん。どうしてもわかんなくて…めちゃくちゃにやるよりは、と思って…。」

私は申し訳ない気持ちで途方に暮れる。

「そっか…、あ、でもソロは良かったよ!」

「そう?ありがとう。」


 そこも音の大きさで自信が半減なんだけど…

 ううっ、私がもっとしっかりしていれば!!

後悔とはひとえにこの事が大きい。

後悔が大きいため、

 何なのよ!?課題曲であのむちゃな高さのトゥリルは~!?

と内心逆ギレしたりもした。


でも、

~♪

「…」

他校のトゥリルに開いた口が塞がらなかった。

 できてる!しかもあんなカッコ良くなるなんて!!

 なんで!?教則本にも無かったし、OBの先輩も知らなかったのにどうして!?どっからその技を!?

 あ~!!

 今吹いた人に教えて欲しかった…


もちろん、吹いてない学校も多かった。

 でもこれって、だからこそ大事なポイントになるんじゃ…


一人で悶々とする私。


 銅賞だったらどうしよう…


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