吹いて奏でて楽しみましょう

指定した位置は前方右寄りの一角。

一年の大会の時と同じ位置だ。


「遅かったな。」

「先生!久高先生が指揮してたの見た!?」

「てゆうか、知ってたよ。」

 知ってたんかい。


曲が終わってから、まだ集まってない後輩達を手招きや、直接行かせて呼ぶ。


さすがにみんな集まると座る席がないので周りで立ってたり絨毯に直接座ってる子もいる。

お行儀がいいとは言えないが他も似たようなもで、会館がいっぱいになってるから仕方ない。



「茜は舞台裏に行きなさい。」

「はい。
じゃあね。」

手を降って席を立つ。

「頑張れ~」

「うん。」



立ち去る茜を見ながら、

「表彰式の代表だよね。」

「うん。私だったら緊張しそうでやだな。」

「大丈夫かな茜。」

「大丈夫でしょ、茜だし。」

「そうか。茜だしね。」

「でもあれで結構緊張しぃな所が…」

「え~?コケたらどうする?」

「代わりにいけば。」


と他人事のように言う私たち。あくまで信頼しているからである。



< 442 / 467 >

この作品をシェア

pagetop