吹いて奏でて楽しみましょう
閉会式の挨拶が延々と続く。
でもなぜか今回はそう長く感じない。


講評というのもある。

『今回は、どの学校も…レベルが…特に…という点で…甲乙つけがたい所も…』

 へ~そうなんだ。


今回の全体的な評価や状況についての話だ。なかなか興味深い。


そして審査員紹介の後いよいよ結果発表だ。


『では、成績発表に移ります。』



「わ!来たきたよ~!どうする?どうする?」

「ヤバいヤバい聞きたくないかも!」

「え~早く聞きたい。」

「緊張してきた…」



『プログラム24番…』

今日はAパートの2日目なので、今日の最初は24番目にあたる。
私たちは中盤だ。


『…銅賞。』

ワッ!!


場内のどこかから、残念な声が上がる。

パチパチ…

でも拍手は贈られるのだ。

お礼として会釈をする生徒達。

しかし残念だろう。


「いきなり銅賞だよ…。」

同情心と銅賞枠が減ってちょっとだけ安堵感も生まれる。


と思ったら、


『金賞!』

ワァー!!

『金賞!!』

ワァー!!


すぐ立て続けに金賞が2つも出た。


 普通に考えて銀賞が多いはずなのに。


しおりにあるそれぞれの学校の隣に、賞を書き込んでいく。


場内は発表の度に歓声や拍手が沸き起こる。

既に泣いてる人もいる。
うれし泣きか悔し泣きか。


私達は発表に耳を澄まし、ペンを走らせつつ、拍手もして結構忙しい。


 あ、次友達の学校だ。

その次は私たちなのだが。


『銅賞。』


 え?


振り返って、小学生時代いつも遊んでた友人を見る。


遠くにいるが泣いてるようだ。


 うそ…

ドキドキ…。


じゃあ、私たちは…?

予想外だったわけじゃない。
でも近しい学校の銅賞で、現実身を帯びてくる。


 まさか銅賞なの…?

私たちの部はほとんどが春からの新入部員なのだ。


私たちの力だってそんなに高いわけでもないはず。


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