吹いて奏でて楽しみましょう

 午後の部練習開始。

午前はほとんど自主練と後輩たちの基礎学習だったため、午後はパート練習、セクション練習、全体での合奏となるはずだった。

「パート練習はじめまーす。」

「はい。」

数分の音だしの後、パート練習に入る。
フルート5人とは言え、合奏なので音合わせもちゃんとやる。

一応私がパートリーダーなので譜面に目を通し練習曲を決めるのだが、大体次の合奏でやる曲を練習する。

が、

 今日の合奏(全体)って、何やるの?

手元には複数の楽譜がある。
比較的易しいの、中級、一番難しいが試験的にやっている、と思われるもの。

 みんなが今一番やっているのはこれなんだけど…

 『ロバート・ジェーガ―作 シンフォニア・ノビリッシマ』

 今手元にある曲で一番の難曲である。
故にみんな必死に練習しているわけである。
かっこいい曲でもあるんだけど。

え~、まさかこれ~?

と、みんなの練習音が流れてきた。
やはりシンフォニア・ノビリッシマだ。

 まぁたしかに先生がこれから先に仕上げてみ?と言ってたしなぁ。

難しい曲だから練習も長めにとらないといけない。
そしてある程度やってみてから本番で使うかは決めるんだろう。

 …でも私、これ仕上げられるとはとうてい思えないんですけどー! 

今までにないくらいのすさまじいスケール量を見て戦慄を覚える。

とは言え練習しないわけにもいかない。

ま、ただの練習曲としてなら合奏くらいはしてみたい。
それぐらいかっこいい曲ではある。

ただ難しいだけのものではないのだ。
難しいからこそかっこいいのかもしれないが。
< 455 / 467 >

この作品をシェア

pagetop