吹いて奏でて楽しみましょう
~♪
夏休みも終盤。
今日の練習は珍しく一、二年が学校行事の関係でいない。
三年だけの部活は本当に久しぶりで昔に戻ったみたいだ。
ということで、みな先輩の顔をはずして思い思いにやっていた。
「楓、いっしょにシンフォニア合わせない?」
こちらも後輩達に解放され、部長の顔をはずした茜が曲を合わせようと誘ってきた。
「シンフォニア?まだ全然出来ないけど。」
「私も。スケールのとこ以外だけでもやろうよ。」
「オッケー。」
二人椅子を並べて楽譜を見比べる。
「ここいっしょだね。」
「じゃ、ここから吹いてみようか?」
メトロノームに合わせて吹き出す。
~♪
最初はたどたどしかったメロディーが何度かやると合ってきた。
「おー!今のところ、ちょーカッコ良くない!?」
スケールではないがちょっと速くてリズムの難しいところ。
決まると爽快で何度も合わせてはきゃあきゃあ騒ぐ。
「茜すご~い。」
「いやいや楓の方が上手いって。」
そこへいつ来たのかあきれ顔の田中君に
「はいはい、おばちゃん達。」と言われた。
おあばちゃんて…。
「田中君どうしたの?」
「一人で練習つまらない。」
「ああ。」
パーカッションは確かに三年一人だ。移動もできないし。