吹いて奏でて楽しみましょう
練習は基礎練から入る。
頭部管でのロングトーン、タンギング。
本体をつけて繰り返し。
ロングトーンは音をどれだけ長くきれいに出せるかの練習だし。
タンギングは逆にどれだけ早く音を切れるか、舌の運動になる。
しばらくは、基礎練と教則本の曲をやっていたが。
「楓、これ次の吹奏楽祭でやろうと思ってる曲なんだけど、練習してみて。」
木管のセクションリーダー、梢先輩が楽譜を配っている。
この人は3年で副部長、クラリネットのパートリーダーでもあるんだけど、さばさばしていて、ちゃんづけはしない。
「楓は楽譜読める?」
「はい、なんとか読めます。」
「そう。わからなかったら誰でもいいから聞いてね。」
「はい。」
やや緊張ぎみだった私が落ち着いて見たのは、紙一面の附箋と音符。
わ~、一つの曲なんだ~。難しいかな?
「♭が…2つ。」
曲名は
「西部の人たち」
西部? アメリカ人?の曲?
なんとなくカウボーイやら荒野を連想する。
?
まっ、いっか。
がんばるぞ~。
と意気込んだのはいいけれど。
最初のファとレの繰り返しはできる。
息継ぎ早いけどな。
しかし、4小節目
「♯…」
この音だけ♯?
とりあえず吹いてみる。だがまた、
5小節目
♭?
はっ!次も♭!
…あれ?前の小節と同じ音に着いてる。
更に6小節目、
あれ?この記号なんだっけ??
あ~意味わかんね~。誰か早く来ないかな?