吹いて奏でて楽しみましょう

学校へ着くと、楽器を準備して音楽室へ行く。

イスは昨日の合奏したままになっているので、全員そろうと軽く合わせた。


「じゃあ、下にトラック来るから楽器を下に下ろして。車は…」


赤嶺先生の指示でみんな動き出す。


楽器は下ろしたけど、トラックは?


「あ、来た。」

心無しか少し古いような…


「紐で固定するぞ!男子達手伝え!」

「はーい。」


パーカスの先輩は慣れた様子でトラックに楽器を運び入れる。


「これでいいすかね?」

「うん。あーこれ以上はぐらつくか…。あっちの布でくるもう。」


楽器の固定具合を見ながら話し合う。


こういう時はやっぱり男子の先輩カッコイいな。

普段おちゃらけてるだけに真剣な様子が際立つ。


と、思ったのも束の間。

「ちょっとあんた達!早く降りろって!いつまでも出発できないでしょ!」


積み終わった荷台で遊んでいる先輩達。

また怒られてるよ…。


「いいよ。俺らこのまま乗っていくし。な?」


「はあ?何バカ言ってんの!危ないでしょ!」


「大丈夫だって!それにまた積み下ろす時、俺達が先に着いてた方がいいだろ?心配な楽器も抑えておくし。」


もっともな意見だが、ただトラックの荷台に乗りたいだけというのが前提だとわかる。


「でも…あ、先生あいつらがー」


部長達が先生に訴える。

「おい!早く降りろ。危ないぞ。」

「大丈夫だよ。楽器支えてるし、なんかあったら言うから。」


降りる、降りないでしばし問答になり、ついに先生達が折れた。
「勝手にしろ。」


「行ってきまーす!」

「まったくあいつら!」
「もうほっとこ…」
聡美先輩達も疲れた様子。


やれやれ。
ゴーイングマイウェイだな。


あの神経の図太さ、うらやましいです。




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