吹いて奏でて楽しみましょう
「全員いる?パートリーダー報告!」
「よし、じゃあ楽器をトラックに積んで、その後は各自解散。
演奏聴きたい人は残っていいからね。」
「はい。」
残る人は多かった。
ここまで来たのだから、他の学校の演奏も少し聴いていこうと思っているのだ。
私達も午前中は残ったみんなで聴いていた。
観客から見た舞台は小さく、別世界のようだ。
やがて、一人二人と帰り始めたので、私も待ってもらっていた母と帰ることにした。
「いい経験したわね。」
「うん。」
母の言葉に頷く。
演奏終了後に母に会った時私は嬉しくて聞いていた。
「演奏どうだった?」
と。
「良かったわよ。」
母は笑顔で返してくれた。
「あら、津波(ツハ)さんじゃない?」
「金城さん!どうしたの?」
「娘が吹奏楽部入ってて…」
会館近くのバス停は待っている人が多い。
母はバスを待っている間知り合いを見つけたようで、おしゃべりをし始めた。
私は傾きかけた太陽の光の中、長いようで短いような一日を振り返っていた。