魔女のカウントダウン☆

再び席に戻ると

『本当に、楽しめて、あたし達も良かったわ』

加奈ちゃんが言う。


『そうよね。あたしら全員、彼氏の事 忘れて楽しめたしね』

歩夢ちゃんは、そう言うと
『さあ…部屋に帰ろう…』
美紀ちゃんの手を引いた。続いて加奈ちゃんも席を立つ。

(あたしら全員!?)
気になる言葉に

『ちょっと、待ってくれ めるにも 彼氏がいるのか?』

俺は、訊いた。


『める?ああ…文人君の事ね、ええ、勿論、居ますよ。8年越しの彼氏が東京に…』

歩夢ちゃんからの答えに…
瞬間
全身から、血の気が引いた。


『ほら、だから 言っただろう…』

雅彦の耳打ちが聞こえる。

(めるには、彼氏がいる)

(俺との事など、彼女にとっては、ただの遊びにしか過ぎなかった)


そう思うと、たまらなく心が氷ついて、俺はただ、黙って、膝の上に乗せた拳を握り締める事しか出来なかった。

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