魔女のカウントダウン☆
『はっ? 協力ってどう言う事!?』
あたしは、幸也を押し退けて、前に出た。
『ごめん、める…めるの事だから、ここに来るのを迷うと思って、事前にめるの背中を押してくれるようにご両親に頼んでおいたの』
美紀が、上目遣いに話す。
父が言った。
『いやいや、わたし達も苦労したよ…だが、母さんの言葉が、めるを奮い立たせたな…』
『そんな、貴方が、いたからですわ』
恥ずかしそうに、首を横に振る母。
『でも、めるのおかげで、思いきって、このホテルにも顔を出せたし…感謝するのは、こっちだよ』
父が懐かしそうにゲレンデを眺めた。
にこやかに見ていた支配人が声をかける。
『あの頃、貴方は、大回転の素晴らしい選手でした』
『ええ…私は、そんな貴方に、このゲレンデで一目惚れをしたの…』
母もゲレンデに目を向けた。
『えっ、まさか…支配人が言ってた話って!?』
みんなが、一斉に目を見開く。
あたしは、一呼吸置いてから
『そうよ、あの話は 父と母の話なの…』
と、ぼそりと答えた。