魔女のカウントダウン☆
…幸也
プーさんのエプロンをじっと眺めるめる…。
何かを、思い出しているようだった。
めるが、今、何を思い出しているのか
大体、察しがつく。
このエプロンを見る度に思い出す事と言ったら、あれしかないからだ。
あの日は、俺にとっても、本当に最悪な夜だった。
たまたま、あの日…高崎の両親が、またもや大福の取り合いで、喧嘩をしなければ、もう少し早く帰宅出来たのかも知れない。
とにかく、帰ろとした所を高崎から、電話で呼び出されたのだ。高崎は涙声で、大福で、両親が喧嘩になった。今度こそ、離婚するかも知れないから来てくれ!と言っていた。いやいや、そんな訳ないだろうと思ったが、心配になり顔を出したのが運のつき、俺は見事、凄まじい、喧嘩に巻き込まれた。
めるに連絡する暇も無く、何とか、俺が大福をプレゼントする事で喧嘩をおさめ、アパートに帰宅した時、時刻は午後9時を回っていた。
部屋には、明かりがついている。
めるが、俺の帰りを待ってて、くれてるんだ。
そのいじらしさに、ジーンとくる。
『める、遅くなってごめんな!!』
俺はドアを開けると同時に謝った。