魔女のカウントダウン☆

(こんな時こそ、魔法が使えたらいいのにね…)

笑みが、零れる。

これが、2人の始まりであって欲しいと固く願った。

その時


『ゅ…ぃ』


彼の口元が、微かに動いた。


寝言?


良く訊き取れなかったので
幸也の口元に耳を近づけた。

彼の寝息が聞こえた。

何だか全てが愛しくて、大切な宝物に思える。


また、唇が動いた。


『ゆ…い』


ゆい? 首を傾げるあたし


再び、唇が動いたので、あたしは、更に耳を近づけた。

『ゆい…くすぐったいよ』
今度は、はっきりと聞こえるように彼は言った。

瞼は閉じたままなので、これは、彼の寝言だろう…。


ーーーーにしても


ゆいって誰?


暫く、考え込むあたし…。

でも、浮かんでくる答えは1つだけ


ゆいって。。。女の名前

ーーーーーだよね。




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