◇ちゃんは悪魔の子◆実話
「お前生きてたんだ。」




確か、それは
萩原と言う女だった


冷たい魚の目をした
女だった

彼女の心ない鋭い視線を今でも鮮明に覚えている。


私が来たとたん
みんな私の机からはけていった

つまらなさそうに
しら〜ってして



一番窓側の席の
前から二番目


みんなが集りすぎて見えなかった



私の席においてあったのは


丁寧に花瓶に刺さった
凛とした
一輪の黄色い菊の花だった


「ちぇっ。死ぬわけねーよな」
クラスメイトは口々につまらなさそうに言った。




状況を飲み込むまで私は何分そこに立ち尽くしたのだろうか。
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