加納欄の社員旅行 シリーズ18
あたしは、犯人が、床に転がった拳銃を取り戻そうとした時に、ジャンプして奪い取り、犯人目掛けて拳銃を突き付けた。

そのタイミングを、見計らったように、大山先輩も高遠先輩も、犯人を捩じ伏せた。

「ち、ちよっと待ってくれ!」

犯人は、拳銃を取り上げられたからなのか、突然慌てはじめた。

「話しは警察署で聞きましょうか。ゆっくり立って下さい」

あたしは、拳銃を構えたまま、犯人を立たせた。

「お嬢さん。危ないから、拳銃を返しなさい」

犯人は、あたしに諭すように話した。

「どっちが危ないのよ。早く他のお仲間の所まで歩いて」

あたしは、拳銃を構えたまま、犯人と一緒に、高遠先輩の所まで歩いた。

窓口のお姉さん達も、唖然としている。

「心配しないで下さい」

高遠先輩が、説明を始めようとした瞬間に、銀行の中に、たくさんの警察官がなだれ込んできた。

「動くな!警察だ!」

なだれ込んで来た警察官の動きが止まった。

「ご苦労様です。犯人確保してます」

あたしは、警察官に向かって話した。

その警察官が、あたしを見て動きが止まっている。


なに(>_<)?


ちよっと失礼なんじゃない?!


銀行員も、警察官も微妙な動きで、変な空気が流れてるのが伝わってきた。

「あの」

窓口の奥から、スーツを着込んだ、若い男性が話しかけてきた。

あたしは、連れて来た犯人を捩じ伏せたまま、男性に顔を向けた。

「あの、あなた達は……?」


あたし達……?


あぁ、あたし達が刑事なの知らないもんねぇ。


あたし達が、刑事であることを報告しようとした時に。

「予行練習ですが……」

「だから?」


えっw(゚o゚)w!


予行練習o(><)o?


今度は、あたし達の動きが止まった。

あたしが捩じ伏せていた犯人は、ゆっくり体制を立て直すと、あたしの手からゆっくり拳銃を取り戻した。

「ま、まさか……?」

「札幌北署勤務の阿部巡査です。そちらは」

あたしの背中から、冷たいものがサァーっと流れるのがわかった。

「と、通りすがりの……か、観光客、ですぅ(>_<)」


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