約束〜不確かな未来〜
気がつくと、一件の古びた、今にも壊れそうな小さな食堂の前の
またまた古めかしい傾きかけた木のベンチに、千早人は座って
私達の到着を待っていた。
「ごめんなさい…あたしたち、お喋りに夢中で」
「ハハハ!女性は歩くの遅いですからね」
と笑った後、千早人は続けた。
「ここ、こんなだけど旨いんですよ。
島で一件しかない食堂なんです。
ラーメンとおでん、それからカツ丼も旨い!
テレビで取材されたこともあるんですよ」
へぇ〜…
私達はキョロキョロ店全体を眺めた。
もう秋の気配がし始めたというのに
かき氷の旗が風に揺れていた。
ガラガラ……
引き戸を開け、千早人の後に付いて店の中へ入ると
親父達は、早速またビールを飲みながら、おでんを摘んでいた。
「おぅ!遅いな!
道にでも迷ってたか?」
1番元気なタカさんという40半ばの人が、手を挙げて笑った。
私達は一人づつテーブルに分かれて座らされ
酒の肴にされながら食事を共にした。
皆、陽気な海の男達でとても愉快な仲間だった。