約束〜不確かな未来〜
不透明な想い
一緒に住む話がオジャンになってから
千早人は家に来る度に、少しづつ荷物を持ち帰るようになっていた。
荷物を手に、玄関から出て行く後ろ姿を見るにつけ
私は堪らなく淋しかった。
千早人が泊まりに来ると、月曜の朝はココから会社へ行く。
私は苦手な早起きをして千早人を起こす。
なかなか起きない千早人に
寝たまま靴下を履かせ、洋服を着せ
足を一本づつ持ち、ズボンに入れてやる。
そして
「ほらぁ〜!後は自分で起きてズボンあげて!」
足をパシン!と叩いて、私が大声で言うと
「ふぁ〜い…」
眠そうな顔でやっと千早人は起き上がる。
私がそんなに世話好きで、母性本能があったなんて
千早人と知り合うまで気付かなかった。
そんな千早人が可愛かったし、満更世話を焼くのも嫌じゃなかった。
千早人が“いってきます”のキスをする。
私はベランダへ出て、姿が見えなくなるまで手を振る。
それが毎日になるのを楽しみにしてたのに・・・
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