約束〜不確かな未来〜


(…もう考えるのはやめよう)


それでも閉じられた目から涙がジワリと滲み

それは引力のまま、耳元へと流れ落ちた。


耳がくすぐったく、手をやると

まだ開けたばかりのピアスに触れた。


この夏、初めて耳に穴を開けた。


福耳だと幼い頃から言われていた私は

それに穴を開けてしまうと、福が逃げて行きそうで

頑なにピアスをすることを避けて来た。



しかし、―ピアスを開けると運命が変わる―

そんな迷信もどこかで信じていた。





彼のことは大好きだ。

いや、愛している。

私が今までで1番強く、深く愛した男…


けれども、愛すれば愛するほどに

それは苦しみを増す…

思い通りにならない苛立ちと不安


もう、全てのことから逃げたかった。
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