超短編『ウィルス』
そのいち
 時は西暦2X64年、科学は想像を絶する進歩を遂げていた。

 通信技術もその例にもれない。人類は遂に天界と交信する事に成功したのだ。



 人間界との窓口はギリシャ神話でお馴染み『全知全能の神』ゼウス様。

かのかたは天界の中でもかなりさばけていらっしゃる様で、ザックバランにお話を戴ける。

しかし、少しでもご機嫌を損ねる様な事を伺おうものなら……。



 しかるに天界との通信役は命掛けである。



 ある日、またお告げが有った。



ゼウス
『よう! 久し振り! お前らが好き放題するからさぁ、前にみんなで相談して疫病とかを創ったんだよ』


人代表
「なるほど、いわゆる天罰を下された訳ですね?」



『そう、それなのにどんどんお前らは治療法を編み出してくる。仕方ないから添加物に発癌物質を、男の同性愛者にAIDSをばら撒いた』



「何故女性の同性愛者には天罰を下されなかったのですか?」



『そりゃお前、男同士は見栄えが悪いからだろうよ! はっはっはっ!』



「ハハ、ハハハ……(苦笑)」


< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop