ヤクザと執事と私【短編】『遥か遠くのロシアにて-嵐を呼ぶ男達-』
運転手が心配そうな顔でリムジンの外に立っている龍一を見る。
「あ、気にしないで下さい。うちのペットの犬と猫がジャレているだけですから。」
状況では考えられない優雅な笑みを浮かべた龍一。
そして、リムジンの中に顔だけ入れ一言、「鳥のように空を飛びたいのはどちらですか?」
その言葉を龍一が言った瞬間、今までの騒ぎが嘘のように静寂を取り戻すリムジン内。
「それでは、運転手さん、出してください。」
運転手は、なんともいえない表情で、龍一が乗り込んだ後、静かに後部座席のドアを閉め、運転席に戻った。
15分後、3人は豪華なホテルへと足を踏み入れた。