ヤクザと執事と私【短編】『遥か遠くのロシアにて-嵐を呼ぶ男達-』
「それで、ヒナタさんはどうするのですか?」
龍一は、カジノに入ってから、どこか落ち着かない真木ヒナタを見た。
「え、俺は・・・お前についていくよ。」
「行きたいところはないのですか?」
「・・・ああ、俺、カジノは初めてだから、わからないし・・・」
「そうですか、では、私と一緒に軽くカジノで遊びましょうか?」
「ああ、そうするよ。」
「あと、私のことは、龍一と呼んで下さい。もう仲間なんですから、遠慮はいりませんよ。」
龍一は優しい目で真木ヒナタを見つめる。
「・・・ああ、わかったよ、・・・龍一。」
真木ヒナタは少し照れながら視線を龍一からそらした。
「あと、大和も大和って呼んであげてください。喜びますから。」
「・・・わかったよ。」
それから龍一と真木ヒナタの2人は、札束を一つだけコインに替えて、カジノの奥へと入っていった。