ヤクザと執事と私【短編】『遥か遠くのロシアにて-嵐を呼ぶ男達-』
「・・・ああ。」
大和は、龍一の問いに簡潔に答える。
「それでは、お願いしますね。」
「・・・やっちゃっていいの?」
「どうぞ。」
龍一の許しを得た大和が今までどうやって隠していたのかわからないが、背中の服に手を入れると、そこから消火器を取り出した。
そして、一瞬の躊躇もせずに、消火器を噴射した。
辺り一面、あっという間に視界ゼロの状態なる。
グアァ!!
その視界ゼロの状態で、誰かの叫び声がひとつだけ聞こえた。
「行きますよ。」
真木ヒナタの耳元で龍一のささやく声が聞こえた。
「ああ。」
真木ヒナタも龍一に答え、記憶にあるVIPルームの出口へとすばやく走る。