ヤクザと執事と私【短編】『遥か遠くのロシアにて-嵐を呼ぶ男達-』
真木ヒナタは、倒れている4人のロシア人の財布を漁り、入っていたお金の半分を抜き取っていく。
「最初はどうなることかと思ったけど、うまくいったな、このアルバイト。」
「私が考えた作戦ですので、当たり前です。」
頬にキスマークのついた龍一が、真木ヒナタのもとに歩いてきた。
「でも、意外だな。龍一、こういう正義に反すること嫌いなのかと思ってたよ。」
真木ヒナタが、歩いて近づいてきた龍一に話かける。
「そうですか?私は、別に正義に興味はありませんし、自分を正義の味方なんて恥ずかしいこと思ったことはありませんよ。」
「・・・正義の味方より美味しい思いにはあってるけどな・・・」
大和が、龍一の頬を見て大きな声で独り言をつぶやく。
「・・・大和、独り言は、小さな声で言ってくださいね。」
龍一は、苦笑いを浮かべて大和を見た。
「あれ?俺、声出てた?心の中の叫びだったんだけど。」
大和は、わざとらしくとぼけた。