COLORS【黄】Yellow Card 学園★注意報
漸く落ち着きを取り戻した私は、杏ちゃんが勘違いしていた事を告げる事が出来た。
「……甘奈がそれだけ大事に想っているって事は、それだけ素敵な人なんだね」
「うん」
子供心に抱いた恋心を打ち明けたら、心の中がちょっぴりくすぐったいような、温かい感じになれた。
そう、友達のままだけど。
「私も会いたいな、その彼に」
「杏ちゃん、惚れないでよ?」
「ウフ(笑) 親友の恋路を邪魔する程ヤボじゃないわよ」
泣いたり笑ったり忙しいのも青春の1ページなのかもしれないね?
私たちが教室の扉に手をかけたのと同時に、扉が開いた。
そして眉間に沢山のシワを寄せた山吹先生が仁王立ちしていた。
あちゃぁ……
「下校時刻はとっくに過ぎているんだぞ!! 届けを出さずに教室に戻るのは校則違反だ。二人とも――」
「ごめんなさい先生、大切なものを探しておりましたの」
出た。杏ちゃんの必殺上目遣い
「そ、そうか……み、見つかったのか?」
「はい、お陰さまで」
両手を胸の前で握り、尚も上目遣いで微笑みを投げている。
「気をつけて帰るんだぞ」
「ありがとうございます」
先生が先にUターンをし、私たちもゆっくり教室を後にする。
「杏ちゃん、助かったよ」
「先生がお優しくて良かったよね」
や、優しい? 貴女がいなかったら反省文は間違いなしだったのに?
「杏ちゃん……」
もしかして気付いていない? 貴女の瞳の光線は世の男性陣はイチコロなのよ?
そして、例のその彼とは思わぬ形で再開する事となるなんて、この時思う筈もなく。